ダラス駐在が決まって渡米した直後、意外と多くの人がつまずくのが「そもそもアメリカの銀行口座がない」という問題です。米国の銀行口座は基本的にアパートの住所が決まってから現地の店舗で開設するため、口座ができるまで数週間〜1ヶ月ほどの空白期間が生まれます。
前回の①ではクレジットヒストリーがゼロの問題を扱いましたが、今回はそのお隣、「決済する手段そのものがない」期間をどう乗り切るかという話です。ここで初期装備として活躍するのがWise(ワイズ)です。
Wiseは銀行ではなく、海外送金・両替・決済を専門にするサービス(旧TransferWise)です。日本でアプリ登録と本人確認を済ませると、米ドルの口座情報(ルーティングナンバー+口座番号)が持て、専用のデビットカードで支払いもできます。
ひと昔前、駐在員は渡米前に日本で三菱UFJ系の「ユニオンバンク」の口座を作れました。渡米前に米ドルの受け皿を用意できる、貴重な存在でした。ところがそのユニオンバンクが使えなくなり(くわしくは次回③でお話しします)、「渡米前に米ドルの受け皿を準備する」役割を引き継いだのがWiseです。日本にいるうちに準備できるのが、初期装備としての最大の強みです。
【渡米前】Wiseは日本にいるうちに準備する
Wiseの準備は、渡米前の日本でほぼ完結します。やることは大きく3つです。
- アプリ登録・本人確認:マイナンバーカードなどで本人確認。数日で完了します
- デビットカードを注文:日本在住者でも発行できます(発行手数料1,200円ほど・配送7〜10日)
- 円→ドルへ両替:実勢レート(ミッドマーケットレート)に近い水準で両替し、USD残高を作っておく
デビットカードは配送に7〜10日かかります。出国直前に申し込むと受け取れないまま渡米することに。渡米の1ヶ月前までには申し込んでおきましょう。
【渡米0〜1ヶ月】生活費はWiseで回す
渡米したら、WiseデビットカードをApple PayやGoogle Payに登録します。これで着任初日からスマホ一つで支払いができるようになります。
アメリカはタッチ決済が普及していて、スーパー・ドラッグストア・レストランの多くがApple Payに対応しています。メインの銀行口座ができるまでの生活費は、これ一本で十分回せます。
- Apple Pay / Google Payでの店舗支払い
- オンラインショッピングの決済
- ATMでの現金引き出し(毎月一定額までは手数料無料の枠あり)
- 日本の家族からの送金を受け取る
- 外貨両替の手数料が安く、クレカの海外事務手数料(約2〜3%)を回避できる
しろ【1〜3ヶ月】メイン銀行ができたら“役割分担”へ
アパートが決まると、いよいよメインの銀行口座(次回③で紹介するBank of Americaなど)を開設できます。ここからはWiseと米銀口座で役割を分けます。
- 米銀口座:給与の受け取り・家賃・公共料金・カードの引き落とし=生活の本拠地
- Wise:日本⇄アメリカの送金専用ツールに切り替え
日本の口座への送金や、日本からの仕送りの受け取りは、Wiseが手数料の安さで頭ひとつ抜けています。メイン決済の座は米銀に譲っても、送金ツールとしてのWiseは長く使い続けられます。
【その後】Wiseは“卒業”ではなく“持ち替え”
①のJAL USAカードは「クレヒスが育ったら卒業するカード」でした。Wiseは少し性格が違います。初期装備としてのメイン決済の役目は数ヶ月で終わりますが、日本との送金ツールとしては一時帰国のたびに活躍する“生涯現役”の道具です。
「初期装備のうち、主役を引退してもベンチに残り続ける選手」——それがWiseのポジションだとイメージしておくと分かりやすいです。
Wiseは銀行ではなく送金サービスのため、預けた残高はFDIC(米国の預金保険)の対象外です。万一に備え、まとまった貯金をWiseに置きっぱなしにするのは避け、当面の生活費(数千ドル程度)の受け皿と割り切りましょう。貯蓄はFDIC対象の米銀口座へ移すのが安心です。
よくある質問
- Q. SSNがなくてもWiseの米ドル口座は持てる?
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持てます。パスポートなどの本人確認書類で開設でき、SSNは不要です。SSN取得を待たずに準備できるのが、初期装備としての強みです。
- Q. Wiseのデビットカードは日本で作れる?
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作れます。日本在住者でも、口座開設と本人確認のあとにカードを注文できます(発行手数料1,200円ほど・配送7〜10日)。出国前に申し込んでおきましょう。
- Q. 給料の振込先にWiseを指定してもいい?
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ルーティングナンバーと口座番号があるので技術的には可能です。ただしFDIC対象外なので、給与や貯蓄の受け皿はメインの米銀口座にするのが安心です。Wiseはあくまで決済・送金用と考えましょう。
- Q. 一時帰国のときも使える?
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使えます。日本のATMや店舗で、ドル残高や円残高から支払いができます。両替の手間がいらないので、一時帰国時の決済でも頼りになります。
まとめ:Wiseは“渡米前に作れる米ドルの受け皿”
Wiseは、ユニオンバンクが使えなくなった今、渡米前に準備できる数少ない「米ドルの受け皿」です。メインの銀行口座ができるまでの空白期間を、これ一本で安心して乗り切れます。
メイン決済の主役は数ヶ月でメイン銀行にバトンタッチしますが、日本との送金ツールとしてはその後もずっと使えます。「初期装備でありながら、長く使えるサブ装備」として一枚持っておく価値は十分あります。







